すし処 君家
開業して22年、時代とともに寿司屋も変化
中南勢地域
三重県内でも漁師町として知られる紀伊長島生まれ。実家は料理屋さんで、「幼い頃から、『君家の3代目』って、屋号で呼ばれてましたね」と話すのは、「すし処君家」の店主、山口和司さん。
開業して22年、時代とともに寿司屋も変化した、と実感しています。「かつて、寿司屋は日本料理の下のほうに位置づけられていましたが、今では日本を代表する料理と捉えられ、おまかせのみ、とか同時スタートが多くなりました。とはいえうちは、ふらりと来てくださる方も多いので、内容、量、ご予算などお客様それぞれのご希望に臨機応変に対応していきたいと思っています」。
常連さんにはしめ鯖やこはだなどのヒカリモノ、今日のお薦めを提案することが多い一方、カウンター前で緊張している若いお客様には、白身や中トロ、穴子など食べやすいものをお出ししつつ会話をし、次は何を握ろうか、と探っていくのが楽しい、と話します。「目の前に板前が立っている意味って、お話ししながら次を考え、喜んでいただくことにあると思うんです。」
魚の仕入れ先は、地元三重県の中央市場や生まれ故郷の紀伊長島の他、週の半分は名古屋に泊まり込み、早朝に東海地区の台所である柳橋中央市場に通います。「注文はLINEや電話でもできますが、自分自身の目で選ぶこと、魚のプロである魚屋さんから情報をもらうことが重要です。常に顔を出してしゃべる間柄だと、『今日はあのお客さんが来るからどうしても欲しい』と思うものを融通してくださったりもします」。
馴染みの寿司屋を作るのが大人の粋、ともいいます。「自分が行ったと仮定して、いつも居心地のいい店でありたいなぁと自問自答しています。市場に行くトラックの中で、お客様との対話を振り返りながらブツブツ独り言を言っていますよ」と山口さんは笑います。
【PROFILE】
三重県紀伊長島生まれ。大阪で7年、名古屋で2年の修行の後、1993年に地元三重県津市の東京大寿司で松田春喜に10年ほど師事。2002年、松阪市に「すし処 君家」を開業。地元三重県の名店26店舗で作る団体「みえ寿司街道」の芸表も務める。2016年G7伊勢志摩サミットではプレスの食事会場で寿司を握るなど、精力的に活動する。
施設名 |
すし処 君家 |
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住所 |
三重県松阪市高町453-4 map 地図をみる |
電話番号 |
0598-51-7200 |
営業時間 |
昼の営業 11:30~15:00 夜の営業 16:30~22:00(L.O.22:00) |
すし処君家
春夏秋冬、季節とともに魚も変化します。「ただ魚をおろすのではなく、こういう貝が手に入る季節になったな、産地はどこだろうと想像しながら、食材と向き合っています。春は貝類、夏はウニに、伊勢湾の天然の車エビ……その日ごとにおすすめは変わります。ぜひ、今日は何が美味しいですか?と聞いてください」。
すし処君家
山口さん自身、「お客様をびっくりさせるくらい、種類を取りそろえることが好き」と話します。夏場に旬を迎えるウニは、産地を変えて10種類ほどを揃え、食べ比べていただくことも。「寿司屋は仕入れが第一です。種類を豊富にご用意するためにも、視野を広く持ち、情報を仕入れるようにしています」。
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